BFFスペシャルレビュー

BFF上映作品への熱い想い 「これを観ずに死ねるか!」

第4本目“THE BICYCLE: FIGHTING AIDS WITH COMMUNITY MEDICINE”(プログラム5

映画が写真や絵画と違うところは、ビジュアルが動くこと。機関車が走る。馬が走る。19世紀末のパリで、ストーリーもないそんな映像を皆で見るところから映画は始まった。

今でも映画の醍醐味は走るシーン。レオス・カラックスの「汚れた血」のドニ・ラヴァンの感情が爆発する走り。アラン・シリトーの「長距離ランナーの孤独」の孤高な走り。「人斬り」の勝新太郎、「未来少年コナン」のガニマタ走り、挙げだすと切りが無い。

BFFにも走るシーン(もちろん自転車で)が満載なわけですが、今年のラインナップの中で個人的なベストショットは2カット。


ひとつめは「STREET FIGHTER」でオレンジのTシャツの男の子がカーブを曲がる瞬間。なんてことないカットだけどカメラの動きと男の子のラインがピタッと決まって、ハンドリングの楽しみがでている。(ホームページのトレーラーにも使われてます。)蛇足ながらこの映画で男の子が煙の中を突っ切るカットも最高。流れる髪の毛が顔に受ける風を思い出させる。

そしてもう1つのシークエンスが、この映画「THE BICYCLE : FIGHTING WITH AIDS」のラストシーン。医療ボランティアのパックスが、エイズ患者を救うため村から村へと続く土道を今日も走る。サイズの合わない重そうな実用車で、ヒョコヒョコ全身を動かして、笑顔で走る様はユーモラスでさえある。だけど登場人物のその後の運命がインサートされる瞬間、彼の背負っている使命の重さに胸を打たれる。

どこまでも続く道を、限られた命を燃やして走る姿は「美しい」としか言えない。このショットのためだけにでもBFFをやる価値はあったと思う。

思い出してみれば僕がメッセンジャーという仕事を選んだのも、使命を持って走るサイクリストの姿に憧れたからだ。そして使命を持って走るときに見えるであろう景色を実感してみたかったのだ。

レースだって勝利や自分の限界への挑戦という「使命」がある。だけど突き詰めれば、そこから見える景色は飽くまでスタートからゴールの間にある空間にしか過ぎない。

メッセンジャーだって引き取り先から配達先へのスピード競争という側面もあるけれど、実は荷物やメッセージを運ぶことで社会に参加しているわけだ。その使命の元では全ての歩行者や自動車、他のサイクリスト、建物やその中にいる人達、街の何もかもに意味が発生するんじゃないかなと思った。やってみて実際にそうだった。

路肩の宅急便のトラックは邪魔だけど、あいつも配達を急いでるんだな。


誰だクラクション鳴らすのは?もしかして友だちが挨拶してる?


歩いてるあの子は、あそこのカフェで働いてるのを見たぞ。


そろそろあのビルは完成するな。仕事あるかな。隣のお店は潰れたのかな。


あの建物の6階の窓に映る影は、いつも荷物を出してくれるオジサンかな。


そんなことを感じながら走る景色が面白くて、自分の美意識にマッチするから未だにこの仕事を続けているような気がする。

もちろんパックスの使命とは比べ物にはならないけど、いつか彼のように、笑いながら意味のある走りをしてみたいもんだ。

byタクヤ@メッセンジャーKAZE

BFFスペシャルレビュー

第1本目「KLUNKERZ
第2本目「BIKECAR
第3本目「B.I.K.E
第4本目「THE BICYCLE: FIGHTING AIDS WITH COMMUNITY MEDICINE
第5本目「NIGHT OF THE LIVING BICYCLES : CYKLERNES NAT
第6本目「FAST FRIDAY

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